総合評価: 95/100 / Steam: Overwhelmingly Positive(圧倒的に好評)/ レビュー数: 9,883件 / 好評率: 95%
- 分解・清掃・部品交換の手触りが本作の中心。ここは評価が一致している
- 日本語訳が粗く、物語の筋を追いにくいという指摘が複数出ている
- ジャンク品から部品を取るか、買うか。資金繰りの判断が中盤の軸
- 生成AI素材をめぐる論争があり、開発元が公式に見解を出している
『リ・ストーリー: 思い出修理屋』は Mandragora が開発し、tinyBuild が販売する電子機器修理シミュレーターである。2026年8月6日にリリースされ、公式発表によれば発売初日で10万本、8月13日時点で30万本を売り上げた。開発元は『I Am Future』を手がけたチームで、発売前の時点で50万件のウィッシュリストを集めていた。
舞台は2000年代半ばの東京。プレイヤーは電子機器修理屋の店主として、ゲーム機・携帯電話・カメラ・音楽プレーヤーといったY2K時代の機器を預かり、分解し、直して返す。公式説明では、訪れる客との会話が選択によって分岐し、マルチエンディングに至るとされている。本記事では、修理そのものの出来・物語まわりの問題・そして発売後に起きた素材をめぐる論争までを扱う。

▶1. 分解して、洗って、直して、組み直す
修理の手順は実機さながらである。ネジを外して筐体を開け、基板や液晶を取り出し、汚れを落とし、壊れた部品を交換して、また組み直す。作業台は目盛り付きのカッティングマットで、対象を回転させながら角度を変えて作業できる。詰まったときのためにヒント表示も用意されている。
超音波洗浄機のような専用の機材もあり、機種によってはファームウェアの更新まで作業に含まれる。単純作業の反復ではあるが、その反復そのものが本作の中毒性になっている。
▶2. 部品をどう工面するかが経営になる
直すには部品が要る。部品はゲーム内のブラウザから調達するのだが、ここが本作の経営部分である。フリマ、ホームセンター、部品専門店の3つのタブがあり、フリマの出品には**「動作する」「電源が入らない」といった状態表示と、出品者の星評価、そして出品者本人のコメント**が付く。

依頼の単価はゲーム内の日数が進むほど上がっていく。あるプレイヤーはゲーム内30日をプレイした感想として、序盤は3〜4千円程度の依頼が中心だが、30日目あたりには9万円規模の高額依頼も現れると書いている。ただし高額な依頼ほど機器の状態は悪く、部品の工面に悩むことになる。
依頼の入り口は2つある。店を訪れる客から直接受けるものと、メールで届くオンラインの注文である。慣れてくると、メールの注文をまとめて受けてから順番に片付ける、という回し方に落ち着くという声もある。制限時間そのものは無いが、依頼ごとに納期は設定されている。
稼いだ金は道具の強化と、修理できる機種を増やすライセンスの購入に回る。壁に飾られたサービスライセンスがそのまま「何を直せるか」の証明になっており、扱える機種が増えるほど受けられる依頼の幅も広がる。
▶3. 2000年代の東京、という舞台
店の外には出られないが、窓の外の景色と、棚に飾られたライセンス、机の上の小物で時代の空気が作られている。この雰囲気については評価が分かれており、「架空の街」として楽しむ向きが多い。
店の設定にも時代性が効いている。部品を探すのは当時を模したウェブブラウザで、公式の特徴には「公式に認可されたAtariのゲーム機」が挙げられている。修理台の周りには超音波洗浄機のような機材が並び、機種によってはファームウェアの更新まで手順に含まれる。
一方で、この街には物騒な面もある。プレイヤーは店を守るための金を払う立場に置かれ、その状況が物語の背景として効いてくる。なお、営業時間の制約はかなり緩く、あるプレイヤーは「主人公はブラック企業も真っ青の毎日22時間くらいの連日労働が可能」で、徹夜しても特にデメリットは無かったと報告している。
▶日本語訳が物語の足を引っ張っている
日本語レビューで最も繰り返し指摘されているのがこれである。修理部分の評価が高いだけに、惜しまれ方も強い。
31時間プレイした別のユーザーも「日本語ローカライズが上手く行っておらず、陰謀劇も絡んでいるのであろう物語の詳細な経過や顛末がいまいち良く判らないままエンディングを迎えた」と書いている。分岐とマルチエンディングが売りの作品で、その分岐の判断材料が読み取りにくいというのは軽くない問題である。
▶反復が早めに来る
また、ハンダ付けの工程が細い経路をなぞる形式になっており、マウス感度を下げたほうがよいという助言も出ている。加えて、機種ごとの組み立て順を覚える必要があるため、全実績を狙うなら暗記の作業が伴う。
▶動作の重さとバグの報告
見た目の印象に対してGPU負荷が高いという報告がある。RTX 4070 Ti でファンが大きく回り、温度が80℃前後まで上がったというものである。また、10時間ほど進めたところでストーリーが進行不能になったという報告も出ている。
▶生成AI素材をめぐる論争
英語圏の不評レビューでは、Steam用の素材に生成AIが使われているのではないかという指摘が相次いだ。看板の日本語が崩れている点などが根拠として挙げられている。
これについて開発元は、2026年8月11日のパッチノート(v1.0.009r)で公式に見解を出している。要点は次のとおりである。
- ゲーム本体に生成AIは使っていない、という立場を維持している
- 一方で**Steamのコミュニティアイテム(背景アート)**については品質の問題を認めており、それらは外部に外注したアーティストによるもので、今後そのアーティストとは仕事をしないと表明した
- Steamの仕組み上すぐに取り消して差し替えることはできないため、信頼できるアーティストによる新しい版に順次差し替えるとしている
作業目当てなら満足度が高い
- 分解・清掃・組み直しの手触りが良い
- 操作音と挙動が気持ちいい
- 制限時間がなく、自分のペースで進む
物語目当てだと肩透かしになりうる
- 日本語訳が粗く筋を追いにくい
- 進行が遅く、周回の負担が大きい
- 分岐の判断材料が読み取りづらい
- ネジを外して中を開ける、という作業そのものが好きな人
- 制限時間に追われず、自分のペースで積み上げたい人
- Y2K時代のガジェットに思い入れがある人
- コントローラーでのんびり遊びたい人(部分的コントローラーサポート)
- 物語と分岐を主目的に買おうとしている人(現状の日本語訳では厳しい)
- 試行錯誤や検証の余地がある修理を期待している人
- 素材の制作過程に懸念があり、それが購入判断に関わる人
- 数十時間の変化に富んだ展開を求める人
発売から日が浅く、更新は活発である。8月中だけでも複数回のパッチが当たっており、直近では v1.0.013r が配信された。開発元は初の大型コンテンツ更新を2026年9月14日に予定していると告知しているので、日本語訳の扱いを含めて、購入前に公式のニュース欄を一度見ておくとよい。

