総合評価:82/100 / Steam評価:Very Positive(非常に好評)/ レビュー数:2,790件 / 好評率:82%
- 総合評価:非常に好評(87/100)
- 最大の魅力:Papers Pleaseに似た文書確認メカニクスが楽しく中毒性が高い
- 気になる点:ゲーム期間が長すぎて同じ作業の繰り返しになり退屈になりやすい
- 買い時:セール推奨(セーブバグの報告が多いため、アップデート確認後が望ましい)(目安:15~25時間)
2016年のBrexit国民投票から生まれた政治的緊張感を、ゲームという表現媒体に落とし込んだ意欲作——それが Not Tonight です。開発はインディースタジオ「PanicBarn」で、2018年8月にリリースされました。
プレイヤーは「ヨーロッパ系市民#112」として、英国の移民管理局に登録されたバウンサー(入場係)を演じます。夜ごとに各種施設のドアに立ち、訪問者のIDや年齢・チケット・薬物許可証などをチェックし、ルールに沿って入場を許可または拒否していく——そのゲームプレイは『Papers, Please』を彷彿とさせます。
Steam総合評価は非常に好評と高水準で、好評ユーザーの平均プレイ時間は21時間に達しています。一定の満足感と中毒性があることは確かです。しかし同時に、根深いセーブシステムのバグや「劣化版Papers, Please」という手厳しい評価も目立ちます。本レビューでは、その実態を正直にお伝えします。

▶1. 文書照合メカニクス:中毒性のある「間違い探し」体験
Not Tonight の核心は、夜ごとに繰り返される入場審査です。IDの有効期限、年齢制限、チケットの種類、ドレスコード——次々と追加されるルールを頭に入れながら、制限時間内に大量の来場者をさばいていきます。
このシステムは『Papers, Please』と非常によく似ており、「集中して照合作業をこなす快感」はしっかりと継承されています。
「文書確認メカニクスが楽しく中毒性が高い。次のシフトが気になってやめられない」
一方で、ゲームのルール進化については物足りなさを指摘する声も多くあります。
「Papers Pleaseのような複雑で段階的なルール進化が足りず、ゲームを通じて大きな変化を感じにくい」
照合する書類の種類は増えるものの、Papers, Pleaseほどのメカニクスの深化には至っておらず、後半は同じ作業の繰り返しという印象が強まりやすくなっています。
▶2. ビジュアル・音楽・世界観:ドット絵とディストピアの融合
Not Tonight が高く評価される点のひとつが、その美術面です。精密に描かれたドット絵と、電子音楽を基調としたBGMが組み合わさり、ディストピア的なロンドンの夜の雰囲気を巧みに演出しています。
ゲーム内の世界では、Brexitが強行された後の英国が舞台となっており、主人公はヨーロッパ系住民として差別と監視の中で生活しています。道徳的に踏み込んだ選択肢——麻薬の販売に加担するか否か、当局に協力するか抵抗するかなど——が物語に緊張感を与えており、複数のエンディングが用意されています。
「ビジュアルと音楽は素晴らしい。あの世界の雰囲気だけで十分に楽しめる」
ただし、政治メッセージについては「浅い」と感じるプレイヤーも少なくありません。
「『ゼノフォビア(外国人嫌悪)は悪い』という単純なメッセージに終始しており、Papers Pleaseのような深みのある人間ドラマには届いていない」
表現としての完成度は高いものの、ナラティブの厚みという点では課題が残ります。


▶⚠️ セーブシステムの深刻な不具合
最もユーザーから報告されている問題が、セーブデータの消失です。ゲームを閉じるたびに新しいセーブファイルが自動生成される仕様になっており、誤って古いセーブを選択・削除してしまうと、数時間分の進行状況が一瞬で消えます。
「セーブシステムが壊れていて、ゲームを閉じるたびに新しいセーブが作成される。間違えて削除すると数時間の進行状況が消える」
これは致命的な欠点と言わざるを得ず、特に長時間プレイするユーザーにとって大きなストレスになります。購入後はセーブ管理に細心の注意を払う必要があります。
▶⚠️ ゲーム期間の長さと作業感
Not Tonight のプレイ時間は推定15〜25時間程度です。Papers, Pleaseが約10時間前後で完結するのに対し、本作はほぼ倍以上の長さを持ちます。これ自体はボリューム面でのメリットにもなりえますが、ルールの変化が緩やかなため、中盤以降に作業感が強くなりやすい面もあります。
「ゲームの長さがPapers Pleaseのほぼ3倍あり、同じ作業の繰り返しなので値段の割に高く感じる」
▶⚠️ RNG(乱数)要素とノルマの不安定さ
来場者の構成や問題のある客が現れるタイミングなど、一部の進行がランダム要素に左右されます。特に完璧主義的なプレイスタイルのユーザーにとっては、ノルマが運次第になる場面が精神的に消耗しやすいでしょう。
「完璧主義者は注意。ノルマに執着してしまうが、リスタートに時間がかかるのでストレスがたまる」
▶日本語サポート・動作環境について
PC動作環境は公式に対応しており、軽量な2Dドット絵ゲームのため、高スペックなマシンを必要としない点は安心できます。言語は日本語に対応しており、英語が読めなくても問題なくプレイできます(対応言語は英語・日本語・中国語簡体字・スペイン語・フランス語・ドイツ語)。書類の細かい記載を読み取って判断するゲーム性なので、母語で遊べる意味は大きいはずです。
- Papers, Pleaseが好きで、より現代的な設定でプレイしたい人
- 文書照合・間違い探し系のゲームが好きな人
- ドット絵の精密なビジュアルと電子音楽の雰囲気を楽しみたい人
- ブレグジットや移民問題などのテーマに関心があるディストピアファン
- ストーリー分岐や複数エンディングをじっくり遊び込みたい人
- 書類を1枚ずつ読み込む作業そのものが苦痛な人(本作の中心はこの読解作業にある)
- 完璧主義でノルマクリアにこだわりたい人(RNG要素が高くストレスになりやすい)
- セーブバグが解消されるまで安定動作を求める人
- Papers, Pleaseと同等のメカニクスの深さや政治的深みを期待する人
総合スコア:87/100 Steam評価:Very Positive(非常に好評) 購入タイミング:セール時推奨・アップデート確認後が望ましい

