逃げ隠れすることしかできない、あの息詰まる恐怖を――今度は最大4人で味わえます。『The Outlast Trials』は、一人称ホラーの金字塔『アウトラスト』シリーズの派生作品でありながら、マルチプレイ協力を軸に据えた意欲作です。冷戦期を舞台に、製薬企業マーコフの非道な「治験」を生き延びるという設定のもと、悲鳴とともに笑いも生まれる新感覚のホラー体験が広がります。グロテスクさと中毒性が同居した、シリーズの新たな代表作です。

- 総合評価:非常に好評(80/100)
- 最大の魅力:恐怖を仲間と分かち合う協力プレイ
- 気になる点:ゲーム内の説明が乏しい
- 買い時:友人と遊べる協力ホラーを探すなら買い(目安:30時間以上)
『The Outlast Trials』は、Red Barrelsが開発・販売する一人称サバイバルホラーです。2024年3月にリリースされ、従来の単独プレイによる恐怖体験から一転、最大4人での協力プレイを軸に据えた点が最大の特徴です。プレイヤーはマーコフ社の被験者として、敵だらけの施設に放り込まれ、与えられた課題(治験)をクリアして脱出を目指します。
舞台は冷戦期。人体実験の被験者として徴用されたプレイヤーは、洗脳とマインドコントロールの実験台にされます。戦って敵を倒すのではなく、隠れ・逃げ・仲間と助け合うという、シリーズらしい無力感の恐怖は健在です。
それでいて、2026年8月時点で累計11万件超のレビュー・好評率93%という数字が示す通り、仲間と遊ぶことで生まれる独特の楽しさが本作を支えています。
▶1. スリルと笑いが共存する協力ホラー
本作最大の魅力は、恐怖を仲間と共有することで生まれる独特の空気感です。一人なら絶望的な状況も、仲間とわいわい逃げ回ればスリルと笑いが同居する体験に変わります。
設計として巧いのは、必須目標で協力を強制していない点です。ソロでも2〜4人でも治験は成立します。「フレンドが揃わないと進めない」という協力ゲーム特有の詰まりがなく、その日の人数に合わせて遊べる。協力は義務ではなく、あくまで有利になる選択肢として置かれています。
▶2. 「正気度」が生む、もう一段の緊張
本作が単なる鬼ごっこで終わっていないのは、**正気度(sanity)**というリソースがあるからです。
施設内には Murkoff 社の精神を狂わせるガスが満ちており、浴びると正気度が削られます。尽きると「サイコシス」を発症し、スキナーマンという幻覚が現れて執拗に追跡し、体力を急速に削っていく。 敵から逃げ切ったはずなのに死ぬ、という展開がここから生まれます。
秀逸なのは発生源の設計です。プッシャーにガスを吹きかけられる、パズル形式の目標に失敗する、サイコシス地雷を踏む、罠付きの扉や容器を開ける——4つのうち3つは、プレイヤーが焦った結果として起きます。つまり正気度は敵の攻撃で減るというより、冷静さを失った代償として減る。ホラーゲームのメーターとして、これほどテーマに噛み合った作りは多くありません。
▶3. キャラクリとハウジングのやり込み
グロテスクな世界観とは裏腹に、自分の被験者を着飾るキャラクリエイトや、拠点となる部屋を飾るハウジング要素が充実しています。このギャップが意外な中毒性を生んでいます。

▶4. 拠点での息抜きとブラックユーモア
治験の合間には拠点で休息でき、仲間との腕相撲などのちょっとした遊びも用意されています。過酷な世界観のなかに差し込まれるブラックユーモアが、本作の独特な味わいです。
完成度は高い一方、いくつかの注意点も挙げられています。
▶進行の設計に「取り返しのつかなさ」がある
気になるのが**処方(Rx)**の扱いです。身体・精神能力を強化する常時効果で、薬局の看護師からバウチャー2枚で買えるのですが、一度購入すると無効化できず、アカウントに永久に残ります。
試して合わなければ外す、ができない。自分の立ち回りが固まる前に買うと、後から邪魔になっても消せないという設計は、説明不足と相まって新規プレイヤーに厳しく働きます。
▶説明不足とマッチングへの不満
ゲーム内の説明が乏しく、序盤は何をすべきか分かりにくいという声があります。野良マッチングの仕様にも不満が見られます。
▶設定や起動まわりの不具合
起動のたびに設定が初期化されるといった報告や、アンチチート関連で起動できなくなったという声もあり、技術的な安定性には改善の余地があります。

コンテンツは治験(Trials)とMKチャレンジの2本立てです。治験は物語主導の本編で、完了に一定の時間がかかるもの。MKチャレンジは既存マップを改変・再設計したセクションで行う短めのセラピーです。
この二層構造は、協力ゲームとして実用的です。まとまった時間が取れる日は治験、30分だけなら MKチャレンジ、と参加のハードルを調整できる。「今日は時間がないから不参加」が起きにくい設計になっています。
2024年3月のリリース後も更新は途切れておらず、2026年7月には「Project Boneyard」としてシーズン7が始まりました。新しいマップ、新しい治験、新しいMKチャレンジが追加され、直後には修正パッチも連日投入されています。
サービス型の協力ホラーは失速しやすいジャンルですが、2年以上シーズンが回り続けているという事実は、これから始める人にとって安心材料でしょう。同時接続も2026年8月時点で4,000人台を保っており、マッチングが成立しない時間帯を心配する規模ではありません。実績は27個。なお本作は基本無料ではなく買い切りで、2026年8月時点の価格は¥4,500です。
- 友人とわいわい遊べる協力ホラーを探している人
- 『アウトラスト』シリーズの無力感の恐怖が好きな人
- キャラクリやハウジングのやり込みも楽しみたい人
- 一人で完結する物語重視のホラーを求める人
- 強烈なグロ表現が苦手な人
- 安定した動作・親切な導線を最優先する人

